日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-2
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シンポジウム15
抗体薬物複合体の非臨床安全性評価の考え方
*間 哲生
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抄録

 抗体薬物複合体(antibody drug conjugate: ADC)は、モノクローナル抗体に細胞毒性を有する低分子薬剤を結合させた創薬モダリティであり、その標的特異性から有効性と安全性に優れた抗腫瘍薬として期待されている。ADCの毒性は、それを構成する抗体または低分子薬剤が介在して引き起こされる。腫瘍以外の正常組織にも標的抗原が発現している場合は、ADCが正常細胞に取り込まれ毒性が発現することがある。また、ADCがFc受容体に結合することで毒性に関与する場合や、血漿中へ遊離した低分子薬剤が正常組織を障害する場合がある。毒性の回避や低減のため、これらの毒性機序を考慮したADCの最適化やスクリーニング戦略が議論されている。ADCの非臨床毒性試験の実施においてはICH S6(R1)及びICH S9ガイドラインが適用されるが、ADCに関する記述は限られている。また、新規の低分子薬剤をADCに使用する場合は、低分子薬剤単独の毒性評価も必要とされ、通常のバイオ医薬品とは異なる留意点がある。

 本演題では、規制ガイドライン及びADCの毒性学的特性を踏まえ、臨床開発のために必要とされる非臨床毒性試験について要約する。また、ADCで報告されている臨床での安全性プロファイルと非臨床結果との関連性や評価上の課題について考察する。

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