日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-6
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シンポジウム21
発生毒性試験代替法
*藤原 道夫
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抄録

 医薬品の発生毒性評価に動物実験代替法(代替法)が導入されることは画期的な進展であるが,現状ではリスク評価の全てを託すには実施経験やデータの蓄積量において必ずしも充分とは言えない。このような状況からS5(R3)においては,代替法による発生毒性評価はそのスタートラインと位置づけられ,開発候補品による発生毒性評価を積み重ねることによって代替法が洗練されることが意図されている。したがって,発生毒性ハザードが特定された場合(陽性)には代替法の結果が受け入れられるが,陰性の場合には定められた動物実験による評価が要求され,陽性結果でも動物実験によって覆すことは不可能ではない。また,S5(R3)では特定の推奨される代替法を挙げる裏付けがないことから,申請者は使用する代替法の発生毒性評価に対する規定の適格性を確認し,そのデータを添付することが要求される。医薬品の発生毒性評価への代替法導入のハードルは低くはないが,医薬品開発における動物福祉および迅速性や効率性を考えた場合,ここで一歩を踏み出す必要性はICH加盟国・地域に共通した認識と受け止めている。S5(R3)で述べられている発生毒性代替法の実施について現状を概説したい。

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