日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S3-5
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シンポジウム3
ヨーロッパにおけるトキシコロジスト資格に関して
*竹内 文乃古川 賢
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抄録

トキシコロジストは毒性の検出、機序の解明と化学物質の管理までを含む広い範囲に及ぶ専門的な知識と高い技術を要求される。この基準を満たす専門家を認定するため、日本、アメリカ及びヨーロッパでは、各国の毒性関連学会による認定トキシコロジスト制度が設けられている。アメリカにおける認定トキシコロジスト資格であるDiplomate of the American Board of Toxicology(DABT)については日本においても取得者がおり、よく知られているが、ヨーロッパの認定トキシコロジスト資格についてはあまり知られていない。そこで今回、ヨーロッパの状況について紹介する。

ヨーロッパにおける認定トキシコロジスト制度は、イギリス(British Toxicology Society:BTS)、ドイツ(Deutschen Gesellschaft für Pharmakologie und Toxikologie:DGPT)、オランダ(Nederlandse Vereniging voor Toxicologie:NVT)、フランス(Société Française de Toxicologie:SFT)等、国ごとに各主催学会で認定される資格と、ヨーロッパ全体としてEUROTOXにより認定される資格(European Register of Toxicologist:ERT)に大別される。前者は、各学会で策定する基準に従い、トレーニングコース等に参加することによって認定資格を取得することができる。後者のERTについては、直接申請して取得する他に、前述の各国資格を変換することで取得ができ、2016年時点で21カ国で約1900名の有資格者がERTに認定されている。EUROTOXではERTとしての標準化と透明性確保のため、ガイドラインを公表している。その中で、申請による資格取得の要件として挙げられているものに、14の必須科目と2の専門項目の習得があるが、トレーニングコースは長期間にわたるため、資格取得には時間と労力を要する。本発表ではERTの登録要件、トレーニング内容、DABTやDJSOTとの比較、資格を取るとどのような利点が得られるか、DJSOTのヨーロッパにおける認知度などを報告する。

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