日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S3-4
会議情報

シンポジウム3
動物福祉における世界標準って何?
*安倍 宏明Nicole NAVRATIL
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 現在、どの業界においても標準化が叫ばれ、またそのイニシアティブをいかに握るかという競争が起きている。

 標準化の利点は、変数を削除して信頼性を向上させ、手続きが一様であれば、効率、生産性を向上させることが期待できる。ICHは、この業界で実施された動物実験の多くを含む品質、安全性、および有効性試験の要件を調和させてきた。しかし、動物福祉に関する国際調和はされておらず、標準化を支援するためのプラットフォームはあるものの、プログラムの実施には多くの外部要因の影響を受ける。科学の進歩、社会からの期待は常に変わり、環境エンリッチメントの理解の向上は現在ほとんどの国で検討されているものの、ゆえに単一の標準化されたプラットフォームはまだない。

 動物福祉は世界中でどのように管理されているのか?世界保健機関(OIE)は、実験動物の福祉に関する基本的な国際ガイドラインをいくつか提供し、国際基準として “3Rs”が求めているが、動物福祉の実際については各国または各施設に委ねられている。米国では、USDA動物福祉法および動物福祉規則に従わなければならず、多くの施設はAAALAC認証を取得している。欧州は欧州議会の2010/63 / EU指令および2010年9月22日の理事会指令に基づき、ガイドラインを各国に設定し、各社が基準を設定している。米国、欧州およびその他の国の法律、ならびにAAALAC認定の要件は、必ずしも互いに調和しているわけではなく、基準も、各社、各施設で考慮されることとなる。日本では第三者認証についてAAALAC認証、HS財団、国動協等がある。言い換えれば、標準化が求められる最中、決定された基準はない。

 世界の動物福祉基準の理解と、これらの基準の一部を動機づけているPublic Engagementを深め、国際舞台における動物福祉基準について考える機会になれば幸いである。

著者関連情報
© 2018 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top