日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W9-1
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ワークショップ9
毒性評価におけるイメージング質量分析 -海外の報告事例を中心に-
*新間 秀一
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抄録

 イメージング質量分析(IMS:imaging mass spectrometry)では,切片化した試料表面で,主にレーザーを照射することによりイオン化を行い,得られたイオンを質量分析計で計測する.IMSは,この工程で組織表面上で直接得られたイオンの空間強度分布を構築する事ができる技術である.この原理を考えれば分かる通り,検出されたイオンは全て,組織内分布を提供する事が可能であると言える.すなわち,薬物で言えば未変化体のみならず,その代謝物の分布をもラベル化せず得る事が可能な唯一の技術であると言える(裏を返せば,目的のイオンが得られなければイメージングはできないことを意味している).

 このような特徴から,医薬品開発の現場(前臨床研究および早期臨床開発)で非常に大きな注目を集めている.演者は前職で国立がん研究センターにおいて,IMSのための装置の一つであるiMScope(島津製作所)を医師主導治験に応用し,動物のみならずヒト臨床検体においてもIMSを薬物動態解析に適用してきた.本講演ではIMSの基礎的な説明とともに,多種多様にあるIMSの応用事例の中から,特に毒性に関わる例について海外での報告事例を中心に紹介する.またIMSを副作用に関連する試料に応用した内容の2つに焦点を絞り解説を行いたいと思う.

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