日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-122
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ポスターセッション
既存情報に基づくペルフルオロアルキル化合物(PFAS)の肝毒性とフッ化炭素鎖長との関係に関する考察
*福島 麻子関沢 舞石井 聡子浅田 聡
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抄録

ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、残留性有機汚染物質(POPs)として国際的な規制がすすんでいる。これらの化合物の代替物質として、近年、よりフッ化炭素鎖長が短いペルフルオロアルキル化合物(PFAS)の利用が広がっている一方、これらの有害性に関する懸念も高まっている。本研究では、PFOS、PFOAの反復投与毒性のうち、最も高感度で検出されることが知られている肝毒性に着目し、PFOS、PFOAと、よりフッ化炭素鎖長が短いPFAS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、ペルフルオロヘキサン酸(PFHxA)、ペルフルオロブタンスルホン酸(PFBS)、ペルフルオロブタン酸(PFBA))を対象に既存情報調査を行い、これらの化合物の肝毒性とフッ化炭素鎖長の関係について考察を行った。この結果、調査対象PFASについて、肝毒性を引き起こす最小影響量(LOAEL)はフッ化炭素鎖長と相関があり、フッ化炭素鎖長が長くなるにつれ肝毒性が高くなる傾向がみられた。また、フッ化炭素鎖長が6以上のPFAS(PFOS、PFOA、PFHxS)と6未満のPFAS(PFHxA、PFBS、PFBA)では、LOAELに2オーダー以上の差があることが示された。さらに、PFASの生物蓄積性の指標として用いられる血中半減期との関係を考察した結果、調査対象PFASのヒト、サル、ブタにおける血中半減期は、フッ化炭素鎖長が6以上のPFASで極めて長く、フッ化炭素鎖長が6未満のPFASの血中半減期はこれらと比較して顕著に短くなっており、肝毒性と血中半減期に関連性があることが示唆された。

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© 2019 日本毒性学会
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