【目的】防かび剤のイマザリルとチアベンダゾールの混合曝露による妊娠期及び授乳期投与の行動発達毒性試験を行い、マウスの次世代の行動発達に及ぼす影響の有無について検討する。
【方法】イマザリル/チアベンダゾールを混餌法により0%/0%(対照群)、0.0015%/0.006%(低濃度)、0.006%/0.018%(中濃度)、0.024%/0.054%(高濃度)となるように調製してCD1マウスのF0世代の雌に妊娠期及び授乳期に投与して、次世代マウスの行動発達に及ぼす影響について検討した。
【結果】F1世代の授乳期における仔マウスの体重が雄は4~21日齢、雌は14~21日齢で投与群で増加した。また、授乳期間中の行動発達では雄仔マウスの7日齢の遊泳試験の頭角度が投与群で促進した。 F1世代の探査行動では水平移動回数が高濃度投与群で減少し、移動時間が用量依存的に短縮し、平均立ち上がり時間が高濃度投与群で延長した。また、雌成体マウスでは立ち上がり時間が用量依存的に延長し、平均立ち上がり時間が高濃度投与群で延長し、排糞数は用量依存的に減少した。F1世代の自発行動では雌成体マウスの総移動距離の平行性が有意に異なり、平均移動時間、立ち上がり回数及び立ち上がり時間の平行幅が有意に異なった。
【まとめ】本実験においてイマザリルとチアベンダゾールの混合曝露について妊娠期及び授乳期投与により、投与終了後の次世代の雌雄の成体マウスの探査行動に用量依存的な影響が観察された。また、次世代の雌の自発行動の活動性に関する複数の項目の経時パターンに投与によると思われる影響が観察された。本実験で用いられたイマザリルとチアベンダゾールの用量はADI値を基に算出された(ADI値の100倍相当が約0.0015%/0.006%)ものであるが、イマザリルとチアベンダゾールの食品からの推定摂取量(0.072/0.045μg/kg/日)はADI値(0.03/0.1mg/kg/日)のそれぞれ1/400及び1/2000以下であるので、イマザリルとチアベンダゾールの食品からの摂取量では人の健康に対して影響を及ぼさないものと思われる。