日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-142
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ポスターセッション
がん免疫療法のためのT細胞誘導二重特異性抗体の漸増投与によるサイトカイン放出症候群を抑制する試み
*岩田 良香佐々木 正徳原田 麻子竹藤 順子赤井 翔坂本 昭久金子 晃久三島 雅之
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抄録

【背景・目的】CD3二重特異性抗体(CD3BiAb)はがんに対する高い治療効果が期待される一方、臨床での重篤なCytokine release syndrome (CRS)が問題となっている。現在、点滴による投与速度の低下やコルチコステロイド前投与などの対策がとられているが、十分な効果が得られていない。我々はカニクイザルにCD3BiAbを単回投与または漸増投与し、漸増投与のレジメによるCRS低減効果について検討した。

【方法】抗GPC3 CD3BiAb(CE115)を、カニクイザルに10, 100, or 1000 μg/kgの用量で単回投与、または7日間にわたり1, 3, 10, 30, 100, 300 and 1,000 μg/kgの用量で連日漸増投与し、CRSに関連するパラメータを比較した。

【結果・考察】CE115の 1,000 μg/kgを単回投与したサルでは、血中IL-6濃度が60,000 pg/mLを超え、IL-2は2,000 pg/mL、TNF-α及びIFN-γは100 pg/mLを超えて上昇し、CRS症状を示した。一方、CE115を1,000 μg/kgまで漸増投与したサルでは、単回投与に比べてCRS症状が改善した。漸増期間におけるサイトカインピーク値は、IL-6が1,221 pg/mLに低下し、IL-2、TNF-α、IFN-γはいずれも100 pg/mL未満となった。これらの結果から、今回用いたCE115の漸増投与レジメは、カニクイザルにおいてCRS低減に有用であることが示唆された。

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