日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-47S
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ポスターセッション
黒ショウガ中成分5,7-dimethoxyflavoneとCYP3Aの基質薬物midazolamの薬物間相互作用に関する研究
*柏田 真友美原田 翔平北岡 諭落合 和
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抄録

【目的】黒ショウガは、タイやラオスにおいて、お茶やリキュールとして日常的に取り入れられている伝統生薬である。また、黒ショウガには様々な薬理効果が期待されていることから、近年、我が国においても、健康食品として市販されている。黒ショウガの抽出物には12種類のフラボノイドが含まれており、その一つ、5,7-dimethoxyflavone(5,7-DMF)には抗炎症作用や抗肥満作用を有することが報告されている。その一方で、5,7-DMFはin vitroにおいて、薬物代謝酵素cytochrome P450(CYP)3Aの酵素活性に対して阻害作用を有することが報告されていることから、様々な医薬品との相互作用につながることが危惧される。そこで、本研究では、5,7-DMFを健康食品などとして摂取することを想定し、CYP3Aに及ぼす影響をin vivoにおいて、薬物動態学的観点から評価した。

【方法】5,7-DMFを10日間にわたって摂取させたマウスにCYP3Aの基質であるmidazolamを経口投与し、その薬物動態がどのように変化するかについて検討した。

【結果・考察】5,7-DMFを投与した群では、コントロール群に比べて、AUCが約130%に増加し、生物学的半減期が約100分も延長していた。この原因を解析したところ、5,7-DMFを投与するとコントロール群に比べて、肝臓のCYP3Aの発現量が著しく減少していることをはじめて見出した。また、5,7-DMFを摂取した群の血中midazolam濃度はコントロール群よりも高くなっていた。本研究の結果は、5,7-DMFを摂取し続けると、肝臓のCYP3Aの発現量が減少し、CYP3Aの基質薬物の血中濃度が高くなることを示唆している。今後、5,7-DMF摂取によるCYP3Aの発現低下が、どの程度の期間続くのかについても明らかにする予定である。

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