日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S11-2
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シンポジウム 11
日本人の食品からのCd,As摂取量
*吉永 淳
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抄録

日本人のカドミウム(Cd)、無機ヒ素(iAs)の一日摂取量と摂取源について、演者らが行ったマーケットバスケット(MB)調査結果や、各機関で行われた調査結果をまとめた。2015年に演者が行ったMB調査に基づくCd, iAsの推定一日摂取量は21.8, 25.5 µg/person/dayであった。どちらも穀類からの寄与がもっとも大きく、およそ60%を占めた。Cdは野菜・魚・いもが、iAsは海藻が次に寄与が大きかった。

Cdは食品安全委員会が定めた耐容週間摂取量 7 µg/kg/week に比べると1/2~1/3の摂取レベルとなる。iAsは現在、国際機関によって耐容摂取量策定中なので明確なことはわからないが、発がん性に関するBenchmark Doseに比べると25.5 µg/person/dayは決して低い摂取レベルではない。

これまでのMB調査結果と比べると、Cdの一日摂取量は1970年台から半減しており、現在まで年間0.5 µg/day程度減少している。これは農水省による対策によって、流通する米中のカドミウム濃度が低下していることと、日本人の米消費量が減少していることの相加効果であると考えられた。

一方iAsについては注目されたのが最近であることもあり、過去のMB調査結果はないが、陰膳調査データからは減少傾向がかすかに見えている。米の消費が減少していることから、iAs摂取量も減少していると考えられるが、米中iAs濃度に減少傾向が見られないため、Cdほどの摂取量の減少が見えないものと考えられる。

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