日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-116
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ラットへのオルト-クロロアニリン経皮投与後の全身オートラジオグラフィと尿中排泄に関する検討
*柳場 由絵豊岡 達士王 瑞生甲田 茂樹
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抄録

【背景・目的】国内の化学工場において膀胱がんの発症が多数報告された事例では、芳香族アミン類が主に皮膚経路で吸収され、がんを誘発したと疑われている。現場で生じた膀胱がん症例の一部は、オルト-クロロアニリン(OCA)のばく露歴もあり、またインビトロ実験でこの物質は強い遺伝毒性が観察された。しかし、OCAについては、その経皮吸収に関する報告や定量的情報はなく、体内に入った後どの臓器に分布するかは不明である。そこで本研究では、ラットを用いて、OCA 経皮投与後のOCAの全身への分布・動態等について検討した。

【方法】雄性Crl:CD(SD)ラット(7週齢)を用い、イソフルラン麻酔下で背部を剪毛、毛剃毛し、[14C]OCA経皮投与液を50mg/748kBq/4ml/kgの用量で塗布したリント布を用いて、8時間、24時間経皮投与した。投与終了後、リント布を剥離し、イソフルラン吸入麻酔下、炭酸ガスの過剰吸入により安楽死させ、全身オートラジオルミノグラムを作成した。投与後代謝ケージに収容し、採尿区間は投与開始後0~4時間、4~8時間、8~24時間の3時点とした。

【結果・考察】投与後8時間、24時間の膀胱に放射活性が高く、投与したOCAのほとんどが膀胱へ移行していることが観察された。一方、肝臓や腎臓などの臓器への分布はほとんど観察されなかった。尿中排泄率からも投与後8~24時間の間で投与したOCA濃度の86%が排泄されており、これらの結果から、OCAは投与後、速やかに経皮吸収され、膀胱等に高濃度で移行する。また、24時間以内に投与濃度の大部分が尿中へと排泄され、肝臓や腎臓への蓄積が少ない物質であることが示唆される。

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