日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-118
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4- or 5-Methyl-2-mercaptobenzimidazoleによる初代培養ラット肝細胞におけるCYP活性に及ぼす影響
*宮島 敦子黒田 幸恵干川 和枝簾内 桃子満長 克祥入江 智彦大野 泰雄宇佐見 誠
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抄録

【目的】甲状腺毒性および肝毒性を有する、2-mercaptobenzimidazole (MBI)並びにそのメチル化体の4-methyl-2-mercaptobenzimidazole (4-MeMBI)および5-methyl-2-mercaptobenzimidazole (5-MeMBI) は、ラットへの反復経口投与により、肝ミクロソームの薬物代謝活性を誘導する。本研究では、初代培養ラット肝細胞を用いて、4-MeMBI、5-MeMBIおよびMBIが、CYP3A2および1A1/2の活性に及ぼす影響について、時間経過を含めてより詳細に調べた。

【方法】雄Wistarラットより調製した肝細胞を、被験物質の存在下で、48または96時間培養した。CYP3A2活性はtestosteroneの6β-水酸化を、CYP1A1/2活性は7-ethoxyresorufinのO-脱エチル化をHPLC法により調べた。また、ウサギ角膜培養細胞SIRCを用いて細胞毒性を調べた。

【結果と考察】CYP3A2活性は、4-MeMBI、5-MeMBIおよびMBIにより阻害されたが(≥12.5 µM)、96時間では48時間に比べて活性の上昇が認められた。一方、CYP1A1/2活性には、培養48時間において、4-MeMBI(≥25 µM)および5-MeMBI(≥100 µM)による誘導能が認められたが、MBIには認められなかった。SIRC細胞に対する細胞毒性は、4-MeMBIおよび5-MeMBI(LC50: 800 µM)が、MBI(LC50: 1,000 µM)に比べて強かった。以上の結果から、4-MeMBI、5-MeMBIおよびMBIは、CYP活性の阻害と誘導により、化学物質の毒性発現において代謝的相互作用を起こす可能性があると考えられた。また、メチル化体は細胞毒性がより強いと考えられた。

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