日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-189
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アミスルブロムのげっ歯類肝発がん機序メカニズム解明とヒト外挿性の検討
*林 清吾草苅 啓木村 真之早川 知里黒田 雄介竹内 和也古川 賢
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抄録

【目的】スルホンアミド系殺菌剤であるアミスルブロムのげっ歯類を用いた発がん性試験において雌雄ラット及び雄マウスで肝腫瘍発生の増加が認められた。その発生機序とヒト外挿性を明らかにするために、constitutive androstane receptor (CAR) KOラットを用いた検討(実験①)及びヒト肝キメラマウスを用いた検討(実験②)を実施した。

【方法】実験1:野生型(WT)ラット及びCAR KOラットにアミスルブロム20000 ppmまたはフェノバルビタールナトリウム(NaPB)500 ppmを7日間反復混餌投与し、肝臓重量、肝遺伝子発現解析及び肝細胞増殖活性解析を実施した。実験2:ヒト肝キメラマウスまたは重度免疫不全(SCID)マウスにアミスルブロム8000 ppmを7日間反復混餌投与し、肝臓重量、肝遺伝子発現解析及び肝細胞増殖活性解析を実施した。

【結果・考察】実験1:WTラットではアミスルブロム投与群及びNaPB投与群において相対肝臓重量の増加、Cyp2b1及びCyp2b2 mRNA発現の増加、肝細胞増殖活性の亢進が認められたが、CAR KOラットでは両投与群においてそれらの変化は認められなかった。実験2:ヒト肝キメラマウス及びSCIDマウスともに、アミスルブロム投与群で相対肝臓重量の増加、CYP2B6/Cyp2b10 mRNA発現の増加が認められたが、肝細胞増殖活性の亢進はSCIDマウスのみで認められ、ヒト肝キメラマウスでは認められなかった。以上の結果から、アミスルブロムはげっ歯類及びヒトにおいてCAR活性化作用を有し、げっ歯類の肝細胞増殖活性亢進作用を有するがヒト肝細胞増殖作用を有さないことが明らかとなった。また、アミスルブロム投与によるげっ歯類における肝腫瘍発生機序はCAR活性化作用を介したものであり、ヒト外挿性はないと考えられた。

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