主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
【目的】メナジオン(MD、ビタミンK3)は、生体内においてビタミンK1からビタミンK2が生成する過程で、代謝中間体として形成される非常に毒性の強い化学物質である。本研究では、ビタミンK代謝過程においてMDによる毒性が生体内では認められない理由を明らかにする一環として、MDがNAD(P)H:quinone oxidoreductase 1 (NQO1)により2電子還元され生成するMD-OHのsulfotransferase(SULT)による硫酸抱合体生成による解毒代謝について着目した。また、NQO1によるMDの還元後の抱合反応におけるUDP-glucuronosyltransferase (UGT)及びSULTの寄与を評価するために、ヒト肝臓S9画分におけるMD-OHのグルクロン酸及び硫酸抱合体生成について検討した。
【方法】ヒト発現NQO1によりMDから還元され生成するMD-OHに対する硫酸抱合活性及びグルクロン酸抱合活性を、補酵素PAPSあるいはUDPGA共存下で測定した。
【結果・考察】検討に用いた5種のSULT分子種のうち、SULTs1A1、1A3、1B1及び1E1がMD-OHに対する硫酸抱合活性を示した。MD-OH硫酸抱合活性を示すSULT分子種は全てMD-4-O-sulfateを生成した。一方で、SULTs1A3及び1E1はMD-4-O-sulfateのみならずMD-1-O-sulfateも生成した。MD-OH抱合におけるUGTとSULTの寄与を、ヒト肝臓S9を用いて検討したところ、高濃度のMDではグルクロン酸抱合が優位であるのに対し、低濃度域のMDでは硫酸抱合が優位に生成することが明らかになった。