日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-225
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ラットの縮瞳反応における照度と観察時刻の影響
*和田 進太郎松井 龍宣西川 雄樹小西 静香黒坂 妙子上田 誠佐藤 恵一朗山下 康弘
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抄録

【目的・背景】ラットの縮瞳評価法には、暗室内で赤外線カメラを用いる方法や赤色光下で評価する方法があるが、高価な専用機器が必要となる点や飼育環境と異なる非生理的条件での評価となる点が課題として挙げられる。今回、通常の飼育条件下での測定を前提とした汎用ビデオカメラによる縮瞳評価法を開発し、照度や観察時刻の影響を検討した。

【方法】1 lxまで撮像可能なビデオカメラ(HC-V720M、Panasonic)と非球面レンズ(20D、NEITZ)を用いて、雌雄SDラットの眼球及び瞳孔を撮影した動画から、瞳孔径及び角膜径を計測した。縮瞳の評価には、瞳孔径を角膜径で除した縮瞳スコアを用いた。2 lxから通常の飼育室内照度である400 lxの間で照度を段階的に変化させ、縮瞳の評価に適した照度条件を検討した。また、9:00~19:00の間で2時間毎に撮影することで、縮瞳評価に適した時間帯や日内変動の有無を検討した(飼育室照明時刻:8:00~20:00)。さらには縮瞳作用が報告されている陽性対照物質を用いて複数の条件下における縮瞳反応を調べた。

【結果・考察】無投薬ラットにおいて縮瞳スコアが照度に応じて変化し、5 lx以下の照度では400 lxと比較して2~3倍に増大することが判明した。また、9:00~19:00の複数時点間の比較では縮瞳スコアに明確な日内変動が認められなかった。さらに、陽性対照物質投与時に、400 lxの照度条件下では縮瞳を評価できなかったが、5 lx以下の照度では用量依存的な縮瞳スコアの低下が認められた。以上、汎用ビデオカメラを用いたラットの縮瞳評価において、5 lx以下の照度条件が適切であることを明らかにした。観測時刻に制限はないが、実験目的に応じた照度条件の検討が肝要であると考えられた。

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