主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
医薬品開発における重篤な毒性の一つである痙攣を評価する系はin vivoが主流であったが、近年は培養神経細胞と微小電極アレイmicroelectrode array (MEA)システムを用いたin vitroの評価系検討が多数報告されている。このMEA評価法は、神経細胞の発火(スパイク)に基づく評価手法であり、in vivoで痙攣を誘発する化合物(痙攣誘発化合物)に対する発火パターンから多数のパラメータを算出し、それらパラメータ値の増減を評価する。しかしながら、すべての痙攣誘発化合物で特異的に変動する共通したパラメータはなく、同じ作用機序の痙攣誘発化合物であっても共通な特異的パラメータは認められないことから、特定のパラメータによる解析で痙攣リスクを検出することは困難であると考えられる。多数のパラメータによる多変量解析を用いることによって、痙攣誘発化合物の特徴的な反応パターンから痙攣リスクを検出できることが期待されるが、確立された解析方法はない。本研究ではMEA評価法の解析方法の確立を目的とし、MEAで算出される多数のパラメータを利用した多変量解析によって、痙攣誘発化合物と非痙攣誘発化合物の分類、痙攣誘発化合物の作用機序別の分類ができるか検討した。
ラット初代神経細胞に痙攣誘発化合物または非痙攣誘発化合物を処理後、MEAによって得られたスパイクよりパラメータを算出した。算出された全てのパラメータを用い、Spotfireにてクラスター解析を行った。その結果、全てのパラメータを用いたクラスター解析は、痙攣誘発化合物と非痙攣誘発化合物を概ね分類することができた。しかしながら一部の痙攣誘発化合物は非痙攣誘発化合物と分類することができなかった。本学会では、さらに使用するパラメータの抽出や主成分解析を加え、痙攣誘発化合物の分類、その作用機序別の分類を検討した結果も併せて報告する。