日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S11-4
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シンポジウム11
揮発性代謝物の分析に基づく疾患診断
*李 丞祐
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抄録

紀元前の古い時代から匂いを使った病気の診断が行われてきたが、その詳細が学術的に説明し始められたのはわずか約40年前のことである。特に、近年では分析機器の急速な進歩に伴って疾患(特に、がん)に関係するより詳細な化学情報が解明されつつある。最近、我々の研究グループは唾液に含まれる匂い成分から口腔がんを診断する技術を世界で初めて確立した。12種類に絞られた唾液の匂いのもととなる成分が「新生」「増減」「消失」といった3つの群に分かれることを特定し、がん患者12人と健康な人8人の唾液を分析したところ、9割以上の確率でがんの有無を判別することに成功している。今回の成果は、口腔がんの『匂い情報』が解明できたことにあるが、同様な方法でも肺がんや胃がんなどに関係する匂い成分を特定できる可能性が高く、新しいがん診断技術としての確立を急いでいる。将来的には、息を吹きかけるだけでがんの診断ができる計測機器の開発など、匂いを軸とする新しい医療産業の実現を目指している。

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