日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S13-1
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シンポジウム13
安全性評価におけるReplacementの概要
*小島 肇
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抄録

動物実験の3Rs原則におけるReplacementは究極の目標である。その実現に向けた研究が半世紀近くに渡って進み、化学物質等のスクリーニング等に利用されてきた。昨今では動物実験の3Rs原則に準じた試験法の新規開発や改定がOECD(経済協力開発機構)やISO(国際標準化機構)などの国際機関において採択されている。

医薬品の非臨床試験においても、ICH(医薬品規制調和国際会議)M3(R2)「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験実施についてのガイダンス」に3Rs原則の準拠が2009年に明記されて以降、非臨床試験に関する見直しが進んでいる。

1990年代から、ICH S2「遺伝毒性試験」のガイドラインにはAmes試験や染色体異常試験などのin vitro試験が掲載されていたが、2014年には、ICH S10「医薬品の光安全性評価ガイドライン」において、化学物質の光毒性誘発能を評価するために、化学的試験法を用いた光反応性試験およびin vitro試験法を用いた光毒性試験などの利用に関する情報が記載されている。

昨今では、化学物質の生殖毒性誘発能を評価するために、 ICH S5「医薬品の生殖発生毒性試験ガイドライン」の改訂においても動物種の一つを減らすため、動物を用いない試験法の導入が検討されている。

以上の検討は、Replacementを念頭においてものであるが、3Rs原則に準じた試験法の見直しは引き続き進むものと推察している。

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