日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S14-4
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シンポジウム14
動物及び植物におけるバイオジェニックナノ粒子の形成とその毒性学的意義
*小椋 康光
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抄録

栄養所要量を超えた必須金属や非必須金属が引き起こす毒性に対して、生物は様々なメカニズムを駆使して、その毒性を回避することが知られている。例えば、メタロチオネインやフィトケラチンといった金属結合タンパク質やペプチドを誘導し結合させたり、細胞内への流入や細胞外への排出に関わるトランスポーターの発現を調節し、細胞内濃度を制御したり、類金属であれば排泄に必要な化学形態への代謝を亢進させたりしている。このような解毒機構に加えて、最近我々は動物細胞や植物において、イオン状の金属の曝露があった際に、金属のナノ粒子を形成するという現象を見出した。また古典的な拮抗作用が知られている水銀とセレンについても、細胞内でセレン化水銀のナノ粒子形成が起こっていることを実験的に確認した。このような生物が作り出すナノ粒子、すなわちバイオジェニックナノ粒子の生成機構とその毒性学的意義について、明らかになりつつある点について考察したい。

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