日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S18-3
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シンポジウム18
探索段階でのin vitro評価による肝毒性予測
*藤本 和則
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抄録

臨床試験や市販後のヒト肝毒性、もしくは非臨床長期反復投与毒性試験での肝毒性発現はインパクトの大きな問題である。そのため、製薬会社はスループットが高く、少量の化合物で評価できるin vitroの系を用いて、探索段階から肝毒性ポテンシャルの低い化合物の取得を目指している。一方、このin vitro評価系はあくまでin vivo、もしくはヒトでの肝毒性を「予測」しているに過ぎなく、一般的に創薬において「予測」を行う際には「確認」のステップが必要となる。ヒト肝毒性には、実験動物で再現可能であるintrinsicなものと、実験動物での再現が難しいidiosyncraticなものがある。Intrinsicな肝毒性はヒトへの投与前に実験動物である程度確認が可能となるが、idiosyncraticな肝毒性はヒトで確認せざるを得ない。しかしながら、idiosyncraticな肝毒性の発現頻度は非常に低く、また肝毒性の発現には長い投与期間を必要とする場合もあるため、臨床試験では検出できなく、市販後にはじめて問題となるケースも少なくない。これらのことを考慮して、探索段階のin vitro評価系を構築することが大事だと考えている。つまり、in vitro評価系の構築においては、何を予測するために、どんなvalidationをしなくてはいけないのか?を念頭に置く必要がある。この思考は、今後活用が期待されるin silicoでの肝毒性予測においても重要だと考えられる。本発表では、当社の探索段階での肝毒性予測のためのin vitro評価系構築の試みを紹介し、それぞれ何を予測するためにどのようなデータを収集、参照したかについて論じたい。

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