日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: W7-2
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ワークショップ 7
トキシコロジスト × リアルワールドエビデンス =??(ファーマコビジランス担当の立場から)
*阪口 元伸
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抄録

非臨床毒性試験からの知見は、医薬品開発ステージにおいて被験者さんの安全性を確保するための打ち手を検討するのに重要なデータとなることは言うまでもない。その後、臨床試験からの安全性データが集積され、最後は非臨床データと臨床データから開発品の安全性を総合的に評価し、規制当局への申請・承認を経て医薬品として世に登場する。これはいわゆるトランスレーショナル・リサーチと呼ばれるスキームの流れであり、その目的としては新しい医薬品を患者さんのもとへ届けることにある。この過程においては、医薬品の承認という共通ゴールのもと非臨床のトキシコロジストが活躍する場面は自然と多い。

ここ数年の間にようやく我が国の製薬業界においてもリアルワールドデータ(RWD)が共通言語として取り扱われるようになってきた。RWDそのものが非常に貴重なデータであることは疑う余地がないが、患者さんや公衆衛生へ貢献するためには、RWDを用いた分析から得られるリアルワールドエビデンス(RWE)を創出する必要がある。

製薬企業では、臨床開発から市販後ステージに至るまでの多くの場面において幅広くRWD/RWEを活用し、decision-makingに資するエビデンスを構築する取り組みが行われている。これらのRWEを非臨床や臨床初期にフィードバックし、新たな医薬品の開発に繋げるアプローチとして、リバース・トランスレーショナル・リサーチがある。同様に市販後に得られる安全性のRWEを非臨床のトキシコロジストへ提供し、サイエンスの面から安全性評価の質を向上させることはこれから大いに期待されるところである。

本講演では、トキシコロジストとRWEとのコラボレーションについて、今後の期待も含めて触れたい。

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