主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
昨今各国で研究開発が盛んとなっている希少・難治性疾患領域であるが、患者数自体も少ない上に、疾患についての専門家、医師や医療機関、疾患を研究する研究者、その薬を作る製薬会社、など、様々な周囲のステークホルダーが少ない状態である。さらに社会的認知度や情報も少なく、かつ、政策や制度からも抜け落ちていることが多い。また、介護や福祉などでも理解が少ないことも多い。
我々は、このように様々な情報や知識が少なく、さらに国際的にも接点が少なく、ステークホルダー間のつながりが足りない状態を、少しでも解消するために、間に入って繋ぐ存在が必要ではないか、という仮説をたてた。「企業は薬をつくり、国はそれを認め、患者は病気を治す(改善する)」という同じゴールにすべてのステイクホルダーは向かっているため、その間を円滑にすればよいのでは、という考えである。特定非営利活動法人ASridは、このようなステークホルダー間をつなげる中間機関として、希少・難治性疾患を対象として2014年11月に設立した。ASridは、"Advocacy Service for Rare and Intractable Diseases’ multi-stakeholders in Japan" の略であり、「希少・難治性疾患分野における全ステイクホルダーに向けたサービスの提供」を目的としている。
ASridは広義の患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome, PRO)の利活用に向けた様々なプロジェクトを立ち上げている。本発表では、2018年度に実施した患者の臨床試験(治験)に対するイメージ調査や2016年度に実施した企業研究開発者からみたオーファンドラッグ研究開発に関する意見調査などの実例を紹介する。また、臨床・非臨床研究者への期待や今後の課題・課題について、希少・難治性疾患の患者・家族からの意見も含めて述べる。