日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-192S
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ポスターセッション
in vitro試験情報を利用した薬物性肝障害のin silico予測手法の開発
*片山 早紀
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抄録

【背景・目的】医薬品による肝障害(Drug-Induced Liver Injury; DILI)は重篤化する場合も多いため、医薬品のDILI発症リスクを早期段階で予測することは、新規の医薬品候補化合物の安全性評価において重要な課題である。そこで、本研究では化学構造情報とin vitro試験情報を用いてヒトでのDILI発症リスクを予測し、毒性発現機序を考慮したin silicoモデルを開発することを目的とした。

【方法】FDAが公表しているDrug Induced Lung Injury Rank(DILIrank)に掲載されている医薬品のDILI発症リスクの情報を元に、DILI発症リスク有り(DILI陽性)と発症リスクなし(DILI陰性)を定義した。説明変数には化学構造情報としてオープンソースのライブラリであるRDKitにより計算させた分子記述子(196種)及び、in vitro試験情報として核内受容体やストレス応答パスウェイなどのハイスループットの結果が集積されているTOX21のPUBCHEM_ ACTIVITY_SCORE(59種)の情報を使用した。機械学習アルゴリズムのXGBoostを用いて陽性と陰性の判別モデルを構築し、5分割の入れ子式層化交差検証を行った。

【結果・考察】DILIrankから同定したDILI陽性(277剤)・陰性(149剤)を用いて、判別モデルを構築した。分割した5つのモデル評価用データセットによってモデルの評価を行ったところ、評価指標であるArea Under the ROC Curve(ROC-AUC)の平均値は0.78程度となった。以上の結果から、説明変数として化学構造情報とin vitroの試験情報を使用することで、毒性発現機序を考慮したモデルとしてDILI発症リスクの予測に役立つ可能性が示唆された。

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