日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-85
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ポスターセッション
代替法を用いたアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害薬の発生毒性の評価
*磯部 雄司Sarah N CAMPIONChristine M STETHEMGregg D CAPPON
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抄録

【目的】アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)はde novo lipogenesis,すなわち脂肪酸生合成の最初の反応を触媒する酵素である。ACCの阻害は,脂質代謝に関与する疾患の治療につながることが期待されている。AACのアイソフォームであるACC1およびAAC2を共に阻害する阻害薬として開発が進められていたPF-05175157は,ラットまたはウサギの胚・胎児発生に関する試験で発生毒性(着床後の胚の死亡または胎児の形態学的な異常)が認められた。今回,ACC阻害による発生毒性をin vitro試験等を用いた代替法により評価したので報告する。

【方法】ラット全胚培養(WEC),マウス胚性幹細胞(mESC)およびゼブラフィッシュを用いてACC阻害薬の発生毒性を評価した。なお,ACCはラットおよびmESCで発現すること,ゼブラフィッシュでオーソログ遺伝子が存在することから,これらを評価に用いることは適切と考えられた。

【結果】ラットWECでPF-05175157を評価したところ,多くの形態学的指標で濃度依存的な形態形成の低下が認められ,PF-05175157が胎児に直接影響を及ぼす可能性が示唆された。mESCを用いた試験では,PF-05175157は形態学的な異常をもたらす可能性が高いことが示された。ゼブラフィッシュを用いた試験では,ゼブラフィッシュに対してPF-05175157の用量依存的な曝露が認められ,ACC阻害による発生毒性の傾向が認められた。

【考察・結論】今回の検討により,in vitro試験等を用いた代替法を複数組み合わせて実施することは,医薬品候補物質の発生毒性の評価に有用であることが示唆された。

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