【目的】防かび剤のイマザリル(IMZ)とチアベンダゾール(TBZ)の混合曝露による妊娠期及び授乳期投与の行動発達毒性試験を行い、マウスの次世代の行動発達に及ぼす影響の有無について検討する。
【方法】IMZの濃度を固定(0.006%;NOAELの3倍相当)し、IMZ/TBZを混餌法により0%/0%(対照群)、0.006%/0.006%(低濃度)、0.006%/0.018%(中濃度)、0.006%/0.054%(高濃度)となるように調製してCD1マウスのF0世代の雌に妊娠期及び授乳期に投与して、次世代マウスの行動発達に及ぼす影響について検討した。
【結果】F1世代の授乳期間中の行動発達では雌仔マウスの14日齢の嗅覚性指向反応の所要時間が用量依存的に促進された。F1世代の3週齢の探査行動では雄仔マウスの排尿個体頻度が用量依存的に増加した。F1世代の自発行動では雄の総移動距離の経時変化の平行性が有意に異なった。
【まとめ】本実験においてIMZ/TBZの混合曝露ついて妊娠期及び授乳期投与により、授乳期間中の行動発達や探査行動に投与によると思われる影響が観察され、投与終了後の次世代の雄の成体マウスの自発行動では投与によると思われる影響が観察された。本実験で用いられたIMZ/TBZの用量はADI値を基に算出されたものであるが、人の食品からの推定摂取量(0.072/0.045μg/kg/日)はADI値(0.03/0.1mg/kg/日)のそれぞれ1/400以下及び1/2000であるので、食品からのIMZ/TBZの摂取量では人の健康に対して影響を及ぼさないものと思われる。