Ames試験は遺伝子突然変異を検出する優れた試験法であるが、試験実施にはある程度の検体量が必要になる。そのためICH M7ガイドラインにおいて小規模の試験系の許容について触れられるなど、少量サンプルで実施可能な小型化Ames試験の有用性が示されつつある。また医薬品不純物、開発初期の医薬品だけでなく合成が困難な化合物や高価格の化合物などに対応した、少量サンプルでのAmes試験の評価も求められている。
今回我々は、小型化Ames試験として24 well 最小グルコース寒天培地を用いて、より高感度な菌株としてIWGT 2017で推奨されているSalmonella typhimurium TA100、TA97、Escherichia coli WP2 uvrA/pKM101にSalmonella typhimurium TA98を加えた4菌株における既存のAmes試験法との比較を行った。既知変異原性物質のうち、特にプレインキュベーション法のみで反応する物質、陽性評価が不明確な物質等について検証した。さらにプレインキュベーション法とプレート法を比較し、小型化Ames試験における処理法による反応性の違いを確認した。
その結果、小型化Ames試験に最適な試験デザインを確立し、既存試験法よりサンプル量を減らすことができた。さらに小型化Ames試験と既存試験法との一致性、評価方法及び小型化Ames試験におけるプレインキュベーション法の有用性について報告する。