日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-2
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シンポジウム10
PMDAにおけるin vivo遺伝子治療用製品の非臨床安全性評価の考え方
*直田 みさき
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抄録

 本邦ではこれまでに、in vivo遺伝子治療用製品としてプラスミドDNAを用いた製品であるコラテジェン筋注用4 mgやアデノ随伴ウイルスベクターを用いた製品であるゾルゲンスマ点滴静注が承認され、近年、in vivo遺伝子治療用製品の治験や開発に関する相談も増えつつある。

 遺伝子治療用製品の非臨床安全性に関する基本的要件については「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保について」(令和元年7月9日付け薬生機審発0709第2号)に示されているが、遺伝子治療分野における技術や知見は日進月歩であり、遺伝子治療用製品のモダリティや特性、臨床での適用方法は多種多様であることから、臨床試験の開始にあたって必要な非臨床安全性評価も一様とならない。したがって、製品の特性に応じケースバイケースで非臨床安全性評価方法を検討する必要がある。例えば、in vivo遺伝子治療用製品では、ベクターの感染性及び組織・細胞指向性、目的タンパク質の発現・感受性の種差等を考慮した動物試験の立案や結果の解釈が必要となる。また、動物試験から得られる情報だけでなく、開発製品が発現する目的遺伝子又はタンパク質に関する生物学的特性やベクターの特性等の情報、臨床での安全性に関する公表論文等の公知情報から臨床でのリスクを推定できる場合がある。したがって、in vivo遺伝子治療用製品の安全性評価にあたっては、これらの情報を含め、可能な限りリスク評価を行った上で、対象患者でのリスクベネフィットを十分に理解し、臨床試験の可否を判断することが重要である。

 本講演では、in vivo遺伝子治療用製品に関して、関連するガイドライン等を踏まえた基本的な非臨床安全性評価の考え方を概説し、安全性評価を行う上で特に留意すべき点を中心に、我々の基本的な考え方を紹介したい。

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