日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-201
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異なるアルキル鎖長を有するホスホニウム系及びアンモニウム系イオン液体の細胞毒性の評価
*須田 涼介西山 貴仁溝口 莉菜河野 加奈美大沼 友和小倉 健一郎藤田 恭子市田 公美山折 大
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抄録

【目的】イオン液体(ionic liquids, ILs)はイオン伝導性を有し、難燃性、難揮発性等の性質を持つ常温で液体の塩である。ILsは非水系でありながら極性を持つイオンのみからなる新しい種類の溶媒であり、種々の興味深い化学的特徴を有することから、バイオサイエンス分野ではタンパク質の安定化や酵素のリフォールディング、創薬分野では基剤やDDSへの応用が期待されている。ILsの特徴は、カチオンとアニオンの組み合わせに大きく依存し、現在までに数多くのILsが報告されている。しかしながら対応した毒性に関する知見は乏しく、毒性とカチオン構造との関係あるいはアニオンとの組合せによる影響には興味が持たれる。本研究ではカチオン誘導体として種々のアルキル鎖長(R:C4H9, C8H17, C12H25)を有するアルキルホスホニウムカチオン((C4H9)3RP+)及びテトラブチルアンモニウムカチオン((C4H9)4N+)と、アニオンとしてリン酸二水素イオンあるいは臭化物イオンを組み合わせたILsについてJ774.1細胞に対する毒性を検討した。

【方法】ILs (0–5 mM)をマウスマクロファージJ774.1細胞に添加し24時間処理後、WST-8を用いて細胞生存率を測定した。

【結果・考察】測定の結果、(C4H9)3RP+はRの炭素数増加に伴い低濃度から毒性を示した。この毒性の程度は、(C4H9)3RP+のRの炭素数にのみ依存した。また、(C4H9)4N+は同じアルキル鎖長の(C4H9)4P+と同様に高濃度で毒性を示したが、(C4H9)4P+よりも毒性が低い可能性が考えられた。なお、いずれのILsも毒性の程度とアニオンの種類との間に関連性は認められなかった。

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© 2022 日本毒性学会
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