主催: 日本毒性学会
会議名: 第49回日本毒性学会学術年会
開催日: 2022/06/30 - 2022/07/02
OECD TG439を軸とした医薬部外品ガイダンス「医薬部外品・化粧品の安全性評価における皮膚刺激性評価体系に関するガイダンスについて」が発出されたことで、動物を用いない皮膚刺激性評価に関する医薬部外品申請が可能となった。一方で、本ガイダンスを適用できる原料は皮膚刺激性がないか弱いと予測できる「低リスク成分」に限定されており、適用性の拡大が望まれる。また、原則、被験物質原体による試験が想定されており、溶媒等により被験物質を希釈した際の試験データに関する入手可能な情報は少ない。本研究において我々は、化粧品の安全性評価に活用可能なデータ収集を目的に、LabCyte EPI-MODEL 24(通常品)に加え、角質層の未成熟なLabCyte EPI-MODEL24 6D(6日培養品)を用いて、5施設共同での検討を行った。本研究では、化粧品に汎用される成分または細胞試験等で汎用される溶媒など16物質を選定し、通常品及び6日培養品を用いてOECD TG439に準じて試験を行った。なお、6日培養品はOECD TG439未収載モデルだが、皮膚刺激性有無の判定はOECD TG439と同様に細胞生存率50%を基準とした。一部の防腐剤、多価アルコールでは一般的に化粧品に配合される濃度領域で試験を行った。試験は複数施設において実施し、施設間差を同時に確認した。今回の結果から、化粧品に配合される濃度領域においても、通常品ではすべて非刺激性であったが、6日培養品では一部刺激性であった。6日培養品はリスク評価可能なツールとしての汎用性が期待される。また、両モデルとも、施設間差は確認されなかった。皮膚刺激性評価は、通常リスク評価が可能な毒性項目である。そのため、今後のデータ拡充に際しては、医薬部外品ガイダンス等を参考として被験物質を選定し、リスク評価が判断可能なデータベースを構築していく予定である。