日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-94E
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ヒトiPSC由来感覚神経細胞の特徴と薬剤応答性の評価
*平沼 南美奥田 雄一渡邉 朝久
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抄録

 hiPSC由来神経細胞は近年研究ツールとしてのニーズが高まっている。そこでリプロセルではhiPSC由来感覚神経細胞を新たに開発した。感覚神経は感覚器官に生じた刺激を電気信号として中枢に伝える求心性神経である。非侵害性・侵害性刺激により誘発される1次求心性神経細胞は脊髄後根神経節 (dorsal root ganglion (以下、DRG))に存在し、DRG感覚神経は侵害受容反応のin vitroモデルとして使用されている。しかし利用されているマウス、ラット由来DRGは収量が低く、培養が難しいという問題点が存在する。そこで我々は、DRGに代わる薬剤応答性の評価ツールとしてヒト由来のiPSC感覚神経細胞を作製した。hiPSCを利用することで種間の差や供給安定性の問題を解決できる。誘導されたhiPSC由来感覚神経は性状、機能確認のため発現解析とMulti-Electrode Array (MEA) による薬剤応答解析を行った。

 hiPSC由来感覚神経細胞の感覚神経関連タンパク質の発現を免疫蛍光染色にて解析し、Tuj1, Peripherin, Brn3a, TRPV1, TRPM8, Nav1.7の発現を確認した。MEAを使用したhiPSC由来感覚神経細胞の電気生理学的解析において、TRPV1を活性化するカプサイシン、TRPM8を活性化するメントール、内因性発痛物質であるブラジキニンなどの薬剤を曝露し、その応答性を評価した結果、薬剤応答を確認した。また経時的な温度上昇や電気刺激により発火頻度が上昇した。これらの結果は、我々が開発したhiPSC由来感覚神経が薬剤応答性を評価するツールとして適用できる可能性を示唆した。

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