日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: O2-06
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一般演題 口演 2
ゼブラフィッシュ発生毒性トランスクリプトームのLSKB/AI(BERT)解析
*田中 利男森 葵泉山田 佳代子上杉 奈々松岡 さおり緑川 淳川原 弘三
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抄録

2021年1月29日、医薬品規制調和国際会議(ICH)による医薬品の生殖発生毒性評価に係わるガイドラインS5(R3)が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)により報告され、我が国でも本格的に動物愛護の観点から3Rの原則に沿った代替法としてのゼブラフィッシュ発生毒性試験が展開されている。しかしながら、いくつかの課題が残されており、デジタルトランスフォーメーション(DX)によりこれらの克服が試みられている。例えば、自動タイムラプスイメージングによるハイスループット化やデジタルイメージ解析の精度向上、発生毒性試験に使用するゼブラフィッシュ受精卵の品質保証や飼育品質管理クラウドシステムによる精度強化などが明らかになりつつある。しかしながらゼブラフィッシュ発生毒性試験における最も重要な臨床外挿性を確立することは、現在なお残された問題である。従来からこの課題克服のため、ゼブラフィッシュとヒトにおける疾患ゲノム相同性が高いことを基盤に、ヒトとゼブラフィッシュの発生毒性におけるフェノーム(形態異常)とトランスクリプトームの相関性における類似性を解析してきた。また、システムズ毒性学モデルとして期待されており、発生毒性の分子機構解明やヒトへのリスク評価の基盤となる可能性がある*。そこで、発生毒性試験におけるフェノタイプとトランスクリプトームのデジタルデータと、ビッグデータベースであるLSKBを,2018年にGoogleが開発した自然言語処理モデルAIであるBERTにより世界で初めて発生毒性試験を解析した。BERTは、Transformerによる双方向に大量のテキストデータを学習し、様々なタスクに転移学習できる汎用性の高さを持っている 。その結果、ゼブラフィッシュ発生毒性試験におけるBERTの有用性を明らかにしたので報告する。 *Congenital Anomalies 2016:56,18-27

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