日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: O2-14
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一般演題 口演 4
イメージングによる個体・オルガノイドのDNA損傷応答評価システム
*大塚 健介
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抄録

電離放射線や化学物質などの環境要因によって、細胞は日々、多くのゲノムストレスにさらされている。これらのゲノムストレスは、傷害からの回復、細胞死、細胞老化の引き金となるため、ゲノムストレスが定常状態の組織の恒常性に及ぼす影響を理解し予測することが重要である。 DNA二本鎖切断(DSB)は最も重大なゲノムストレスであり、これが正しく修復されないと、変異や機能喪失が引き起こされる可能性がある。私たちは、DSBによって引き起こされるDNA損傷応答と細胞周期への影響をリアルタイムかつ定量的に解析する技術の開発を進めている。DSBの修復時にDSB部位に凝集する53BP1タンパク、および細胞周期指標を発現するタンパク(hGmnnとhCdt1)をそれぞれ異なる蛍光タンパクと融合させた遺伝子カセット「Focicle」を構築した。次に、このFocicle遺伝子をCRISPR/Cas9でマウスROSA26領域にノックインし、細胞周期依存的なゲノムストレスを定量的にライブセルでイメージングできる新規モデルマウスを樹立した。このFocicleマウスは、放射線照射によるDSBフォーカスの誘導と消滅を放射線の線量依存的に観察を可能とし、摘出した臓器からライブセルイメージングに活用できるオルガノイドの構築も可能とした。 さらに、マウスの全組織におけるゲノムストレスのイメージングを簡便に実現するために、全身および組織の透明化により、DNA損傷応答のマッピングを試みている。私たちは、これが組織レベルの放射線および化学物質によるゲノムストレス応答を全身で理解するツールとして有用なモデルであると考える。

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