日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: O3-31
会議情報

一般演題 口演 7
気管支モデル/単球系細胞株共培養系を用いたナノマテリアル吸入毒性評価と細胞間相互作用の解析
*飯島 一智西田 明日香髙橋 遥中浜 美月荒井 りおん山城 真輝大野 彰子足利 太可雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

我々は、皮膚感作性の動物実験代替法であるhuman Cell Activation Test(h-CLAT)を応用し、ヒト単球系細胞株THP-1細胞のCD54発現を指標としてナノマテリアルの抗原提示細胞活性化能を評価する手法の開発に取り組んできた。本研究では、ヒト正常気管支上皮細胞より構築した気管支モデルとTHP-1細胞の共培養系を構築し、気管支の取り込みや気管支上皮細胞と免疫細胞の相互作用を考慮したナノマテリアルの吸入毒性評価方法の開発を行った。セルカルチャーインサート上に作製したヒト正常気管支上皮細胞より気管支モデルをマルチウェルプレートに播種したTHP-1細胞上に設置し、気管支モデル上部および下部よりシリカナノ粒子を添加した。24時間後、フローサイトメーターを用いてCD54の発現を測定した。結果、気管支モデルの上部または下部よりシリカナノ粒子を曝露すると、THP-1細胞のCD54発現は顕著に亢進し、気管支モデル/単球系細胞株共培養系を用いることでナノマテリアル吸入毒性が評価できる可能性が示唆された。気管支モデルから分泌されるサイトカインについては、培養後の培養液を市販のメンブレンアッセイキットを用いて解析した。メンブレンアッセイより、気管支モデルの培養液にはIL-8が含まれていること、シリカナノ粒子暴露によりGRO-a/b/gおよびIL-6の分泌が促進されることが明らかになった。

著者関連情報
© 2023 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top