日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P2-164
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一般演題 ポスター
自己組織化肝細胞共培養モデルを用いたヒトおよび動物における薬物代謝酵素反応予測
*野中 聖子Julie HARNEYAnna KOPECJonathan JACKSONAndrew BURDICK
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抄録

背景:動物試験は,臨床における望ましくない肝薬物代謝酵素誘導プロファイルを明らかにすることができるが,核内ホルモン受容体の発現には種差があるため,動物における評価結果のヒトへの外挿性を理解することは重要である。薬物相互作用,第I相または第II相の代謝酵素の誘導・阻害,多臓器毒性および毒性代謝物の生成は,薬剤開発および安全性プロファイルに影響を及ぼす可能性がある。従来の単培養でのサンドイッチ培養肝細胞(sandwich cultured hepatocytes: SCH)を用いたin vitro試験では,特に動物種由来の場合,期待する一貫した誘導反応が得られないことがある。 目的:本研究は,ヒト,ラット,イヌまたはカニクイザルの初代肝細胞を用い,異なる肝細胞培養系における薬物代謝酵素誘導能をin vitroで評価することを目的とした。 方法:初代肝細胞を用いる培養系として,自己組織化肝細胞共培養(self-assembling co-cultures:SACC),マイクロパターン肝細胞共培養(micropatterned co-culture hepatocytes:MPCC)およびSCHを用いた。種特異的および代謝経路特異的なシトクロムP450誘導能を有する一連の化合物で2日間連続処理し,mRNAレベルでの誘導能(溶媒対照と比較したときの倍率)により各培養系を評価した。 結果・考察:本研究の結果から,評価したすべての動物種由来の肝細胞で,SACCはMPCCおよびSCHよりも高い信頼性および特異性を示した。このことから,SACCはヒトおよび動物種を通して薬物代謝酵素誘導能プロファイルのスクリーニングに有用であることが示唆された。

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