日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P2-195
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一般演題 ポスター
医薬品の発生毒性評価におけるノックアウトマウスモデルの有用性の検討
*Yuji ISOBENatasha CATLINChirstine STETHEMChristopher BOWMANSarah CAMPIONWilliam NOWLANDGregg CAPPON
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抄録

【背景】従来,医薬品の曝露による発生毒性(催奇形性または胚・胎児毒性)の評価は, ICHガイドラインに示された生殖発生毒性試験のうち,主として胚・胎児発生への影響に関する試験(EFD試験)および出生前及び出生後の発生ならびに母体の機能に関する試験(PPND試験)により行われてきた。近年,医薬品の薬理作用から発生毒性が懸念される場合あるいは遺伝子改変動物の表現型に影響を及ぼすと考えられる場合について,科学的根拠の重みづけ(weight of evidence:WOE)に基づいたリスク評価を実施することの重要性に対する認識が高まっている。【緒言・目的】医薬品の薬理作用から発生毒性が懸念される場合,ノックアウトマウスを用いた試験から得られる結果を適切に評価することは重要である。今回我々は,ノックアウトマウスを用いた試験から得られた結果を適切に評価し,医薬品の曝露による発生毒性を予測することの有用性についてより深く理解するため,ノックアウトマウスを用いた試験およびEFD試験から得られた結果について比較を行ったので報告する。【方法】2017年から2019年にかけてFDAにより承認された医薬品のうち,ノックアウトマウスを用いた試験の結果が公開されている86品目について,EFD試験の結果との比較を行った。【結果】EFD試験で催奇形性または胚・胎児死亡(MEFL)の結果が認められた品目の場合,ノックアウトマウスを用いた試験の結果からの予測性は高かった。一方,EFD試験で陰性の結果が得られた品目の場合,ノックアウトマウスを用いた試験の結果からの予測性はあまり高くなかった。【結論】今回の比較調査の結果から,医薬品の発生毒性に関する情報を得るためのWOEに基づいたリスク評価の一環として,ノックアウトマウスモデルから得られる胚・胎児毒性のデータは有用であることが示唆された。

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