日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P3-277
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一般演題 ポスター
ゼブラフィッシュ胚を用いた催奇形性試験の検討:代謝活性化を考慮した予測率の評価
*人見 将也峯島 浩井上 裕基
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抄録

【目的】医薬品開発の催奇形性評価では,ICHガイドラインにおいて動物実験の代替法がその評価又は評価の補助として利用可能としている。この代替法として,ゼブラフィッシュを用いた試験が注目されており,in vivo試験の結果に対する予測率は最大約90%と高く,代替法として有用な手段の一つだと考えられている。しかしながら,代謝物が催奇形性を示すpro-teratogenを考慮した研究は十分にされているとは言えない。そこで,本試験では代謝活性化なし及びありの条件で陽性物質31種,陰性物質28種を曝露させ,稚魚の形態観察を行い予測率の変化を評価した。【方法】受精後4時間の胚に被験物質(代謝活性化なし又はあり)を浸漬曝露させ,受精後120時間で稚魚の形態を観察した。観察部位に1から5までのスコア付けを行い,陽性又は陰性を判定した。予測率として,感度,特異度及び精度を算出した。【結果・考察】代謝活性化なしの場合は,感度が58.1%,特異度が92.9%,精度が74.6%であった。代謝活性化ありの場合は,感度が51.6%,特異度が92.9%,精度が71.2%であり,代謝活性化なしで検出されなかったエタノール及びシクロフォスファミドが検出された。代謝活性化の有無の両方で陽性の時に催奇形性ありとした場合の特異度は96.4%まで上昇し,代謝活性化の有無のどちらかで陽性の時に催奇形性ありとした場合の予測率は総合的に向上した(感度:74.2%,特異度:89.3%,精度:81.4%)。以上のことから,代謝活性化の有無の両方を考慮することで,より正確にin vivo試験の結果を予測できると考えられた。

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