日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S1-4
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シンポジウム1: 医薬品開発におけるバイオマーカー戦略の現状と展望
医薬品開発におけるバイオマーカー利用に対するPMDAの取り組み
*下元 貴澄
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抄録

医薬品開発におけるバイオマーカー(BM)の活用は、治療効果が高く副作用の少ない医薬品の実現に繋がる一方、十分な検討が行われることなくこれらが利用されることは誤った判断を招くおそれがある。そのため、医薬品開発に広く利用される前段階においてBMの適格性を確認することは重要である。Qualification(適格性確認)とは、提案されたBMのcontext of use(用法)の範囲内において、当該BMが生物学的過程、反応または事象を適切に反映し得ると判断され、探索期から承認後にわたる医薬品開発におけるその使用が支持されるというBMに関する評価結果を踏まえた結論である(ICH E16)。

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、2009年、BMに関する考え方をPMDA内で統一するためにオミックスプロジェクトチームを発足した。その活動として、厚生労働省と協力してファーマコゲノミクス(PGx)に関連する行政通知の作成に関わると共に、PGx・BM相談において、個別品目の評価とは関係しないデータの評価及び解釈を行ってきた。BMの用法を適切に設定し適宜改定していくことは、適切な利用さらには適格性の拡大に繋がり、このような継続的かつ段階的な取り組みが、真に臨床的に意味のあるBMに基づいた治療効果が高く副作用の少ない医薬品の実現に繋がると思われる。

本発表では、非臨床研究で見出された安全性BM候補を医薬品開発に活用する上で考慮すべき点について紹介したい。

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