日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-1
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シンポジウム10: 製薬業界におけるDXの実践~毒性研究/非臨床領域編
DXの推進で目指す世界とは~臨床試験の変化を中心に~
*海邉 健
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抄録

DXは目標とするゴールを達成するための手段の一つで、製薬企業がDXを推進していく先のゴールは、患者さんに対して質の高い医薬品/サービスを早く提供することにあり、オペレーションを中心に大きな変化が起こっている。特に、臨床試験の現場においては、欧米を中心にDXが積極的に推進され、臨床試験の実施方法が大きく変化し、国内にその波が押し寄せている。その一つがDecentralized clinical trial(DCT:分散化臨床試験)と呼ばれる、患者さんを中心に置いて臨床試験のオペレーションを分散化させ、その結果患者さんが来院に依存せず臨床試験に参加できる方法である。また、デジタルバイオマーカーの開発も活発化しており、患者さんが来院せず、有効性或いは一部の安全性評価に用いるデータが連続データとして収集可能となっている。さらには、希少がんを中心にReal World Data(RWD)が活用されて医薬品の承認に至る事例や、日本以外ではCovid-19に対するワクチンの効果がRWDで検証される事例が報告されるようになり、国内においても、漸く医療情報データを活用するための環境整備が進みだしている。これらはいずれも、デジタル技術とRWDの活用、即ちDXを推進することによりDXを推進していく先のゴールにつながる事例と考えられる。日本製薬工業協会では、これらの手法が海外に遅れることなく用いられる様に、事例研究、環境整備、政策提言を積極的に行っている。今回のシンポジウムでは、これらの事例について紹介し、将来展望について触れると共に、非臨床現場の方々との意見交換を通じ、今後の活動に活かしていきたいと考えている。

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