日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S13-1
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シンポジウム13: 医薬品における雄性生殖を介した発生毒性リスクの考え方
「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」に基づいた次世代への発生リスクを有する医薬品の安全性評価における審査の視点
*星野 裕紀子
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抄録

生殖能を有する又は妊婦のがん患者に対して、延命を目的として遺伝毒性や発生毒性を有する抗悪性腫瘍薬が処方される場合があり、患者の妊孕性及び次世代への発生リスクについても考える必要がある。特に、小児・AYA世代がん患者へ遺伝毒性を有する薬剤の使用機会が増えるにつれ、妊孕性確保に対する意識の高まりと共に、医療従事者と患者等とのリスクコミュニケーションのあり方や、適切な避妊方法の選択等、世代に合わせた適切な指導/教育が求められている。米国及び欧州では、抗悪性腫瘍剤等を生殖可能な患者に投与する際に考慮すべき事項に関する指針が示されており、本邦においても、2019年より、医薬品等規制調和・評価研究事業(日本医療研究開発機構)の一環として「生殖能を有する者に対する医薬品の適正使用に関する情報提供のあり方の研究」が行われてきた。今般、その成果として「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」が2023年2月16日に発出された。本ガイダンスでは、発生毒性や遺伝毒性を有する医薬品の投与による、次世代への潜在的なリスクを最小化する上で考慮すべき基本的な考え方等が示されている。本講演では、本ガイダンスについて概説すると共に、機構における審査事例に基づき、遺伝毒性や発生毒性を有する医薬品の安全性評価における審査の視点を紹介する。

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© 2023 日本毒性学会
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