日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S18-2
会議情報

シンポジウム18: 毒性研究・安全性評価におけるデータサイエンスの活用と今後の展望
Quantitative Systems Pharmacologyを用いた安全性評価・メカニズム解析
*齊藤 隆太
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

創薬における数理モデルの活用は,医薬品の研究開発における主要な課題の一つである有効性・安全性の臨床予測精度を高めるために,この20年間で著しく発展してきた技術分野の一つである.医薬品に関する数理モデルを用いた研究領域およびその技術は,近年ではQuantitative Systems Pharmacology (QSP) と呼ばれている.

2016年に欧州製薬連合EFPIAから提唱されたModel-informed drug discovery and development (MID3) のWhite paperが発表された (CPT Pharmacometrics Syst Pharmacol. 2016; 5: 93-122.).QSPはこのMID3フレームワークの中心的技術であり,創薬の様々な局面での定量的で科学的な意思決定を支援する有力なツールである.QSPは薬剤・疾患のメカニズムに基づいた現象の理解に適しており,ターゲット分子の推定,vitro-vivo-clinical間のトランスレーショナルリサーチ,他剤との差異化,臨床試験デザインの最適化,臨床データの解釈などで多くの成果が報告されている.

本発表では,田辺三菱製薬におけるQSPの活用事例として,特に毒性研究や安全性評価に関わるトピック,催不整脈性評価,薬物誘発性肝障害などの研究内容を紹介し,QSPによる臨床予測の現状と将来展望について議論する.

著者関連情報
© 2023 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top