日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S24-2
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シンポジウム24: 次世代研究セミナー:電磁波技術の毒性学への応用-見えないものを見る挑戦-
非線形光学を用いた高輝度テラヘルツ波パラメトリック発生検出技術と広がる応用研究
*縄田 耕二
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抄録

 テラヘルツ波は、ミリ波と光波の中間周波数領域に位置する電磁波であり、次世代のB5G/6G無線通信をはじめとして様々な産業利用に向けて急速に技術開発が進んでいる。テラヘルツ周波数領域には様々な化学物質の指紋スペクトルが存在し、非侵襲非接触に対象を物質同定できるため、郵便物内の違法薬物検査や公共の場での危険ガス分子検知など様々な応用研究が行われている。テラヘルツ波光源には電気的なものあるいは光学的なものの両方があり、その性能を高めるため研究開発され続けている。テラヘルツ波には電場強度、尖頭出力、平均パワー、エネルギー、周波数、輝度といった様々な物理的パラメータが存在している一方で、個別のパラメータをドラスティックかつフレキシブルに制御できる装置はほとんどない。 非線形光学を用いたテラヘルツ波発生は、強い近赤外パルスレーザー光を非線形光学結晶に入射し、光パラメトリック周波数下方変換によってテラヘルツ波を発生させる方法である。我々は、ニオブ酸リチウム結晶を用いたテラヘルツ波パラメトリック発生の効率的な変換の光学条件を明らかにし、尖頭出力100 kWを超えるテラヘルツ波光源の開発に成功した。周波数輝度に換算すると大型施設であるテラヘルツ自由電子レーザーを凌駕しており、他に類のない高輝度光源である。加えて、周波数可変性を有しており、テラヘルツ波と様々な生体物質との相互作用の研究に特に有効と考えられる。 本講演では、テラヘルツ波発生手法や装置による一般的な特徴を概説し、これまで報告されてきたテラヘルツ波を用いた化学物質計測と応用について紹介する。その後で、我々の非線形光学を用いた高輝度テラヘルツ波発生検出技術の最近の研究研究成果を紹介し、異分野融合的研究領域の開拓に向けた取り組みについて議論する。

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