日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S25-4
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シンポジウム25: 解毒の種差を探る
解毒酵素の動物種差と進化
*石塚 真由美近藤 充希池中 良徳中山 翔太
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抄録

動物は食性により解毒酵素を進化発展させ、環境に適応してきたと考えられる。草食性の動物は、多くの場合、植物アルカロイドやテルペノイド類等、常時摂取する植物由来の毒性成分に適応する必要があった。ヒトを含む哺乳類では、食餌由来の化学物質の解毒は主に肝臓で行われる。肝臓に多く発現する解毒酵素として、第I相反応ではシトクロムP450、第II相反応ではグルクロン酸転移酵素(UGT)や硫酸転移酵素(SULT)などがあげられる。これらの酵素は、様々な毒性を持つ化学物質の解毒のために、草食動物の中で特に発達してきたと考えられる。一方、肉食性の動物では、植物由来の化学物質の解毒に対応する必要は比較的低い。実際、ゲノム解析により、肉食性の動物は、雑食性の動物に比較して、UGT1やUGT2など、解毒代謝酵素の偽遺伝子化が多く起こっていることがわかった。また、肝臓の酵素画分を用いた実験から、雑食性の動物に比較すると、肝臓における環境汚染物質や医薬品など外来化学物質の代謝活性が低いことも分かってきた。このシンポジウムでは、食性の多様な哺乳類が、どのように日々摂取される外来の化学物質に適応してきたのか、特に肉食性の動物の解毒代謝能力を軸に報告する。

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© 2023 日本毒性学会
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