日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S33-2
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シンポジウム33: Microphysiological system(MPS)技術の現状と展望:医薬品・化学品開発と規制への応用に向けて
創薬の毒性評価におけるmicrophysiological systemの有用性
*原田 幸祐篠澤 忠紘
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抄録

医薬品開発において安全性懸念による開発リスクの低減を目的として、探索段階の早期から様々なin vitro評価系が利用されている(Loiodice et al., 2019)。しかしながら、従来のin vitro評価系では、平面培養細胞が多く使われており、生体内における細胞の状態と大きく異なる条件で試験が実施されている(Joshi et al., 2018)。その結果、臨床試験やin vivo毒性試験で認められる毒性の予測精度の低下がしばしば問題となる(Proctor et al., 2017)。近年注目されているMicrophysiological systems (MPS)は、生体内における生理学的側面を模倣した微小環境で細胞を培養することにより、培養細胞の機能を向上し、薬剤誘発性毒性の予測精度の改善が期待できる(Kopec et al., 2021)。一方、MPSはその複雑な仕組みによるスループットの低さや操作性の難しさの観点から、現状では安全性評価において本来もつポテンシャルを最大限活用されているとは言い難い。本発表では、探索毒性領域におけるMPSの現状を社内の事例とともに紹介し、今後求められる特徴について議論したい。また、実際にMPSを用いた毒性評価系を構築した際に感じたMPSのメリット/デメリット、取り扱いに関する注意点についてもMPSのユーザーとしての観点から紹介したい。

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