日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-1
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シンポジウム5: Next Generation Risk Assessment(NGRA)におけるNew Approach Methodologies (NAMs)開発の現状、課題、展望
次世代リスク評価の信頼性構築へ向けたNew Approach Methodologyの活用の課題
*山田 隆志
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抄録

次世代リスク評価(NGRA)は、種々のin vitroおよびin silico手法からなるNew Approach Methodology (NAM)により支えられ、それらを統合して利用することにより、結果として化学物質のヒト安全性評価の信頼性が向上することが期待される。近年、NGRAの概念実証のためのケーススタディの開発が行われている。ケーススタディは、様々な意思決定におけるNAMの長所と限界を理解するために有用である。リードアクロス(RAx)は、評価対象物質のデータギャップを類似の化学物質の既存のデータを用いて補完する方法であり、工業化学物質に対するスクリーニングレベルでの有害性評価において長く用いられてきた。NAMを用いてRAxの科学的信頼性を構築することにより、RAxはNGRAの基盤のひとつになりうる。 本発表では、NGRAのうち、特にRAxの信頼性向上へ向けた課題とNAMの利活用拡大へ向けた動向についてまとめる。その予測結果の行政的受入のためには、類似性の仮説を科学的に正当化し、その裏付けとなる情報を提供する必要がある。エンドポイントに関連したin vitro NAMが、いかに類似物質選択の信頼性を向上させることができるかを検証していくことが求められる。ケーススタディにおいて確認されたこれらの重要性について紹介する。また、OECDで開発中の(Q)SAR Assessment Frameworkガイダンスは、(Q)SARモデルおよびその予測結果を規制当局が評価するための体系的で調和のとれた枠組みである。本ガイダンスに記載された原則に沿って、モデルおよびその予測結果の評価のためのチェックリストが作成されている。NGRAにin silico NAMを適用する際には、その信頼性強化の観点から有用と考えられる。規制安全性評価の文脈から、本ガイダンスの概要についても紹介する。

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