日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S8-3
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シンポジウム8: 化学物質のアダクト形成を介した新規毒性機構の解明とその検出
プロテオミクスを利用したアダクトエキスポソーム研究の進展
*堂前 直
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抄録

エキスポソームとはヒトが生涯曝露する環境因子の総体であり、このような環境因子がヒトに与える影響は大きく、がんなどの疾病に対して遺伝因子より寄与率が高いとされている。エキスポソームを正確に理解する方法は現在知られていないが、我々は環境物質が生体反応を引き起こすには、タンパク質と環境物質との相互作用が必須と考え、タンパク質の環境物質による修飾を調べるアダクトエキスポソームを提唱している。タンパク質の修飾を網羅的に調べるプロテオミクスとして、現在はDDA(データ依存測定、ショットガン分析とも呼ばれる)が主流であり、これを用いたラベルフリー定量をもとにアダクトエキスポソームの解明に挑んでいる。 我々は、細胞に種々の化合物を添加し、細胞のプロテオミクス解析する手法を開発した。東京薬科大学の伊藤教授らと共同で、食品添加物を細胞に添加し、細胞中のヒストン修飾を探索した。有機酸系の化合物の多くは、ヒストンへの共有結合が見られ、これがエピジェネティクスに遺伝子発現を調整する可能性を見出した。これからも種々の化合物とタンパク質の修飾を調べていき、化合物暴露と老化・中毒・疾病といった生命反応との関連の研究を進めていきたい。

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