日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S8-4
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シンポジウム8: 化学物質のアダクト形成を介した新規毒性機構の解明とその検出
ラマン分光法を利用したアダクト形成化学物質の検出
*闐闐 孝介
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抄録

膨大な化学物質が環境中には含まれ、体内で生体分子と相互作用することで様々な疾患の原因となることが推定されている。我々はその中で、蛋白質と共有結合を形成できるアダクト形成化学物質が特に重要であると考え、その解析技術の開発を進めている。 我々は低分子化合物にアルキン(炭素-炭素三重結合)をタグとして導入し、ラマンイメージングによりその細胞内局在を明らかにするAlkyne-tag Raman Imaging(ATRI)法を開発してきた。アルキンはコンパクトで元の化合物の活性に影響を及ぼしにくい一方で、ラマン分光法で生体分子がシグナルを持たないサイレント領域に強いシグナルを示す。さらに我々は、金属ナノ粒子上で起きる表面増強ラマン(Surface Enhanced Raman Scattering: SERS)を利用することでアルキンの検出感度を向上させ、アダクト検出や化合物の細胞内取り込みの可視化にも成功した。また最近では、アルキンよりもさらにコンパクトな重水素を用いた検出も展開している。本発表では、アルキンタグを中心にラマン分光法を用いたアダクト形成化合物の検出に関して報告する。

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