日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S9-1
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シンポジウム9: 心臓の頑健性・破綻の制御と毒性評価への展開
ミトコンドリアの構造変化による細胞機能障害の抑制機構
*石原 直忠
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抄録

ミトコンドリアは酸化的リン酸化によるエネルギー生産のみならず、様々な細胞内シグナル伝達経路において重要な役割を果たす多機能オルガネラである。ミトコンドリアは、細胞内のシグナル伝達や分化に伴い、膜の融合や分裂を活発に行い、ダイナミックにその構造を変化させている。ミトコンドリアの分裂にはDynamin様 GTPase タンパク質であるDrp1が重要な役割を果たしており、Drp1の受容体であるMffは外膜アンカー型タンパク質としてDrp1をミトコンドリアの分裂部位にリクルートしている。またミトコンドリアはその内部に呼吸機能に不可欠な独自のDNA、mtDNAを有している。私達はこれまでに、心筋においてミトコンドリア分裂を抑制すると心機能低下が導かれること、またその時にmtDNAの細胞内での分布が変化することを見出している。これらの結果から、分裂因子が細胞内シグナル伝達や細胞機能維持に重要な役割を果たすと考え、更なる研究を進めている。さらに、このミトコンドリアの膜とmtDNAを変動させることで、様々な阻害剤や細胞障害に起因するミトコンドリア機能低下を抑制する技術構築を進めている。ここでは心筋を含む分化組織におけるミトコンドリアダイナミクスの生理的な役割に着目した研究進展について紹介する。

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