主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
タンパク質構造は極めて多様性があり、何らかの活性種により翻訳後修飾を受けた場合、周辺環境に応じて構造・機能を変化させるとともに、その変化を生物応答などの機能発現につなげる場合がある。このような事例は、解毒や自然免疫などの生体防御反応において見受けられる。従って、タンパク質化学修飾は、タンパク質構造を変化させるだけでなく、付加体特異的にタンパク質に新たな機能性を賦与し、それらをシグナルとして活用する場合のあることを意味する。一方、最近の研究により、脂肪酸や糖質に起因する内因性の短寿命活性種だけでなく、植物性食品成分など、日常的にありふれた化合物でもタンパク質に作用し、その修飾構造が免疫以外の細胞やタンパク質とも相互作用することが明らかになってきた。こうした背景をもとに、タンパク質や脂質などの生体成分に関し、化学修飾の特徴的なパターン(“修飾シグネチャー”)を包括的に解析し、さらにそれらに対する生物応答の仕組みを理解することは、これまで単なる“傷害”と捉えられてきたこれまでの化学修飾の生物学に新たな変革や転換をもたらものと考える。本シンポジウムでは、酸化に起因する修飾構造の生成がもたらす生物応答の仕組みについて、最近になって分かってきたことについて紹介したい。