日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: W3-3
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ワークショップ3: シン・毒性質問箱~(大)動物種の選択について考える
動物種選択と試験実施要否の検討における機構の考え
*三ヶ島 史人
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抄録

医薬品の開発にあたり実施すべき毒性試験の種類、試験デザイン、実施時期等はICHガイドラインで標準的な考え方が提示されている。中でも一般毒性試験や生殖発生毒性試験(胚・胎児発生に関する試験)では、通常、非げっ歯類とげっ歯類の2種の動物種が用いられるが、評価の目的、被験物質の特性に応じて、動物種を選択することが求められる。特にバイオテクノロジー応用医薬品では生物活性の種特異性のために、薬理学的に適切な動物種が限られる場合がある。このような場合、開発者が正当と考える1種の動物種を用いた試験を実施することや他の手法を用いて評価することが検討され、その際は試験の実施可能性や実施意義の面から評価方針の適切性を説明できる必要がある。

臨床試験開始及び製造販売承認申請における毒性試験パッケージについて、開発者とPMDAの間で、動物種選択の適切性が論点となることがあるが、上記のように被験物質の特性に応じた検討が必要であり、ケースバイケースの判断となる。医薬品開発において一部の毒性試験を省略することができれば、コストの削減、早期の臨床試験実施が期待できるが、動物試験でのみ得られる安全性情報も否定できないことから、ヒトでの安全性を担保する上で、動物試験によりどの程度の情報を得る必要があるかについては慎重に判断する必要がある。本発表では、動物種の選択及び適切な動物種が限られる場合の動物試験の要否について、PMDAの考え方を紹介するとともに、シンに必要な毒性試験について議論したい。

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