日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-107S
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一般演題 ポスター
個別症例安全性報告データベースVigiBaseに基づく医薬品の発生毒性に関する網羅的推定
*駒坂 友哉木村 恭輔植沢 芳広
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抄録

【目的】

妊婦への投薬に起因する胎児への影響に関する臨床試験の実施は倫理的観点から極めて困難である。そのため、妊婦の薬物治療時における胎児への安全性は十分に確立されていないのが現状である。そこで、胎児への有害な影響に関するリスク回避を目的として、WHOが構築している個別症例安全性報告データベースVigiBaseを用いた医薬品の発生毒性に関する網羅的推定を試みた。

【方法】

1967年から2023年までにVigiBaseに収載された投与経路が報告されている症例を抽出し、解析対象とした。有害事象名はMedDRAver25.1に従い、SMQにおいて妊娠と新生児のトピックに分類される「胎児障害」、「新生児障害」、「先天性・家族性および遺伝性障害」、「妊娠中絶および流産のリスク」に包含される副作用語を解析対象とした。さらに、出生後の投薬による有害事象の影響を排除するために、投与経路が経胎盤的である症例に紐付いた副作用語を発生毒性関連副作用語として定義した。発生毒性の発現傾向を俯瞰するため、全掲載医薬品に対して副作用報告件数とともにシグナル検出指標である報告オッズ比(ROR)およびFisher正確検定におけるP値を網羅的に算出した。

【結果・考察】

医薬品添付文書において発生毒性が報告されているバルプロ酸、カルバマゼピン、アバカビルなどにおいて有意なシグナルが検出された。解剖治療化学 (ATC)分類においては、抗てんかん薬、甲状腺治療薬、全身用抗ウイルス薬等が高度な 誘発傾向を示した。一方、添付文書に発生毒性が報告されていない種々の医薬品においても発生毒性が推定された。以上の知見は、妊婦への投薬の可否を判断する一助になると期待される。

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